自宅でリハビリ中

日々思うことや物語なぞ 書いてみます。

友人

カチャカチャとカップとソーサーが音を鳴らす。お気に入りの紅茶の葉を入れる。
「今週は主人の仕事があまりなくてね、あのひと、ずっと家にいたのよ。」と友人が言う。
人工的に手入れされた手の甲と爪。左手の薬指は、長く使い込まれた指輪をしている。上唇が厚く、形よく上を向いている。そのとなりに小さいホクロがあって、なんともなまめかしい。
「隣の奥さんがね、」と話し出す。
そんな話はあまり興味はなかったが、そのような世界にも関心が無いわけでもなかったので、存外身を入れて聴くことができた。
この友人には、好感をもっていた。その、業とらしく自信ありげな装いとは裏腹に、以外と正直で、義理堅いところがあって、好きだ。
となりのクルマがどうのこうのと話しは続く。相変わらずわたしの話など聞きはしない。
なぜか私も自分の話をするわけでもなく、聞き役に徹している。
そうすることが心地よかったりもするのだ。
これが長年培った友情というものなのか。
なんの話だったっけ、ああ、となりのクルマの話。
友人の話は、まだ続いていた。
テーブルの下のわたしの足には、久しぶりに履いたハイヒール。
右足の小指が痛い。



🍀 学生時代の友人を想像して書いてみました
今日も笑って笑って 🍀



©️2020 coriginality