自宅でリハビリ中

日々思うことや物語なぞ 書いてみます。

32年。

32年。
僕が勤務した年数だ。
高校を卒業してすぐ、働き始めた。大きな工場だ。
車をつくる機械を作っている。
油のにおい、金属の磨耗する音、たくさんの男たち。
どれも精密機械で、実験室、検査室もある。
僕は機械課にいる。
入社5年も過ぎた頃、ある女性と出会った。
正直で甘ったれでおおらかな女の子。
僕はというと、どちらかといえば真面目で、大人しく、規則正しい人間だと言えると思う。
お互いに口数は少なかった。だけど喧嘩などしたこともない。うまくいっていた。
それが、ある日、突然に別れることになったのだ。
理由として、「成長の度合いが違う」ということだった。僕は、所帯をもつことも視野に入れて付き合っていた頃だった。
わからなかった。
でも、理解はできた。
「自分は未熟で結婚はできない」と。
彼女は大人になろうとしていたんだ。
だけど僕は待てなかった。
あれから彼女は、大人になったのだろうか。
秋の風が吹いてきた。
遠くなった話を思い出した。
家族が待っている。
早く帰ろう。




🍀 みんなどんな思い出があるんだろう 
今日も笑って笑って 🍀



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