自宅でリハビリ中

日々思うことや物語なぞ 書いてみます。

階段を落ちたら


もううんざりだ。
ときどき、なにもかも 忘れたくなる。
家族など、仕事など、どうでもいい。
毎朝、やってきた電車に跳び乗る。鉄の錆びた匂いと汗のすえた匂い。自分の身長さえわからなくなる時間。腕の感覚も足の感覚もない。
お決まりの時間に電車は到着する。このまま乗っていたい、とさえ思う。
自分は、何をやっているんだろう。うしろから同じような背広を着た男たちに押されながら進む。
立ち止まってやろうか。
そしたらどうなるだろう。
押し倒されて、階段を転げ落ちるだろうか。いや馬鹿げてる。
ケガをして、ひとにも迷惑をかけて、会社に知れたら恥をかくだけだ。足が重い。
ああ、どこへ行くんだったっけ。小さな目眩さえする。
それなのに、僕の足の爪先は向かうべき方向を知っている。
そんな、もうひとりの自分がいることにも気がつかなかった。
そう、誰の意志でもない、自分の意志で、向かっているんだ。
その先へ。



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朝の出勤は大変
今日も笑って笑って
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