自宅でリハビリ中

日々思うことや物語なぞ 書いてみます。

ヒコーキ雲

「あ ヒコーキ!」
息子が空を指差して言う。
「あっちに行くよ!」
息子は思いを馳せて言う。
僕も空をあおぐ
青い空に一本のスジ。
その10センチ上には、さきほど通ったであろうヒコーキの足跡が残っている。
雲はもうすぐ消えてしまいそうだ。
昨日は、妹から電話があった。
親父の調子が悪くなったと。
どうせタバコと酒のせいで、肺でもやられたんじゃないかと疑った。
胃ガンだった。少し驚いた。
まだ焦ることはない。別にすぐ死ぬわけでもあるまいし。自分に言い聞かせた。
息子は、前を無邪気に歩く。
やっと自由に走ることができると見えて、嬉しい気持ちをカラダいっぱい賑わせている。わたしは、そのあとを注意深く追いかける。
タバコが恋しくなった。
今日は天気が良い。
乾いた風が心地よい。
土手の舗装された道を歩く。
あした、親父の様子を見に行ったほうがよさそうだ。
どんな顔をするだろうか。
母親が失くなってから、めっきり足が遠退いてしまった。
息子が不安そうに振り向いた。
いつの間にか、さっきより距離が開いていた。
わたしは距離を縮める。
息子はこちらを見たままだ。
今日はタバコはよしておこう。





🌱近くの土手を散歩する親子からヒントを得ました
今日も 笑って笑って 🌱


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