自宅でリハビリ中

日々思うことや物語なぞ 書いてみます。

母娘

親子だった。
娘は、30才ぐらい。母親は、まだ60才に達していない感じだった。
子供が学校から帰ってくるまでの数時間、母親を車にのせて買い物に来ていた。
豚肉を指差して、「これ、安いんじゃない。」娘が言う。「ほんとね。」母親が言う。
「ほら、さっき買ったネギと炒めたら、」
「ああ、そうね。」
「あ、ニンジンもいるわね」
「ほんと。」
母親は、数に3日パートに行っている。もう10年になる。近くの工場だ。工場と行っても、ガタガタっ何かを作っているせわしいところ、というよりは、静かで、何人かの、手作業をするような工場。ブラウスや男性のズボンを、カタカタと鳴らしているような。
娘の方は、小学生息子ふたりの母親で、学校のPTAをやっている。少し茶色に染めたセミロングの髪を、うしろで束ねている。顔立ちは、似ていない。
娘は、家事から離れて数時間の、自由。ほっとする時間。母親は、少し小うるさい夫と、いつものパートの日常をわすれて、ささやかな会話を楽しむ時間。
いつも、買い物から帰ったら、テーブルで母親とお茶を飲む。オシャレな湯呑みでもカップでもない。何処にでも売っているような、ガラスのコップ。だけど10年前から同じ。
「今日は混んでたわね。」
「久しぶりに晴れたからね。」
「時間、だいじょうなの。」
「あ、そうだ。もうそんな時間。」
 




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近くのスーパーで見た親子をヒントにしました
今日も笑って笑って
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